富士登山競走 山頂

グランドスラムへの第一歩 NMCメンバーは全員完走の快挙

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 スタート前日,午前の会議をすませ,午後の授業を早退していよいよ出発.ホテルはいまいちだけど静かだ.天気はくもり,高速道路からも富士吉田市からも富士山を見ることはできなかった.でも富士山が見える様子は富士北麓で知っている.スタートの市役所は富士北麓公園より低いところにある.そこからあの遠くに見えた山頂まで登るのだ.

 前日はよく眠れた.朝5時起床,いなり寿司をたべて駐車場へ行く.天気はくもりで相変わらず富士山は見えない.蒸し暑い.

 7時半,ピストルの音とともにスタート,2000人以上のランナーがゆっくり動き出す.ロスタイムは約1分.渋滞の中を私もゆっくり走りだした.馬返しまでは全体にゆるやかな登りだ.その馬返し手前に少しだけきつい登りがあるが,富士の塔を知っている私たちにはどうってことはない.回りを見渡すと息づかいが私の倍ぐらいのランナーもいて,「ああ,この人は関東かな」とちょっと優越感にひたる.馬返し到着は65分,ロスタイムを引いて64分,当初予定が63分だったから,自分への追い込み度としてはやや遅めだがほぼ予定通りだ.
 しかしここからが大変.コースが狭くなり,すでに歩き出す選手も増えてくると,もう自分も走ることはできない.5合目までは走れそうなところも何度もあったが,なかなか進めない.少々イライラしながら列につく.特に狭い岩場では人一人がやっと通れるぐらいのところもあり,一人ずつ登るのを待っているような状態だ.こんなことをしているうちに心拍数も呼吸も落ち着いてくる.さながらインターバル練習.
 5合目を2時間2分で通過.ここから8合目まではもう走れるところは無さそうだ.8合目までは遠いということを事前に聞いていたので,現在位置などはあまり意識しないようにして足元だけに集中した.そして最初の「8合目」と表示されている山小屋に到着.しかしちょっと上を見ると,(高低差で)100mほど先に別の山小屋があり,そこにも「8合目」というカンバンがみえる.「これが田村さんの言っていたニセ8合目だな」とわかり,そこからは山小屋に書いてある「標高***m」を見て進むようにした.もしこの情報がなかったら,田村さんの言うように私もキレてしまったかもしれない.
 8合目まではくもりで,景色もいまいち.しかし8合目(ホントはどこ?)を過ぎると雲の上に出たのか,日差しが強くなり青空が広がった.さえぎる木陰もなくなり,茶色い山肌が見える.暑い.足元はじゃりばかりで,「50cm進んでも20cm戻る」という高木さんの言ったとおりだ.なかなか進まない.さらに岩場も出てくる.広い岩場では登りの列が3つぐらいできていたが,どこに並ぶかによって進み方が違う.前にいる選手が岩場でへばってストップしてしまうと後の選手が進めない.どんどん進む隣の列を見て「ああ,あっちにすればよかった」という感じ.ちょうど高速道路の料金所,スーパーのレジ,つくばマラソンのトイレのような状態だ.やはり馬返しが遅すぎたか,こういう渋滞に何度もはまった.
 8合目と書いてある山小屋は4件あったように思う.最後の8合目山小屋あたりで胃のあたりに一瞬不快感を感じた.「ん,もしかしてこれが高山病か?」と思ったが,平地のレースでも追い込んでいる時はそうなることがある.とりあえず最後の山小屋でポカリを購入し,十分な給水をとった.もちろんそこまででも,給水はこまめに取ってきている. 最後の山小屋を過ぎると,はるか上方にコンクリートのカベと日の丸の旗が見える.誰かが「あそこがゴールだよ」と言った.その瞬間,近くにいた選手全員の気持ちが一つになるのがわかる.残りの高低差はあと300m.相生橋から旭日山観音までと同じだ.8合目からは標高表示だけを頼りに進んでいたので,600m以内に入ったところから気持ちはだいぶ楽になっていた.距離や時間ではなく標高差でもレース感覚がつかめるというのは長野のランナーならではだろう.
 狛犬,鳥居を過ぎて,最後の石段を駆け上るといよいよゴールだ.先にゴールしていた八木さんが写真をとってくれた.当日早朝から徒歩で登っていた亀野氏も上から声をかけてくれた.谷田川氏は3時間27分でゴール,私の到着まで1時間近くも待っていてくれた.

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管理人,4時間17分37秒でゴール

 自分がゴールすると残りはあと10分.ゴール付近は盛り上がる.私もじっとしていられなくて,ゴールから20mほど戻ったところで応援する.ラスト30秒,「走れー!間に合うぞー!」の声で,そこまでヘロヘロになっていた目の前の選手がいきなり走り出しゴールに駆け込んでいく.そして10秒前,いよいよカウントダウン.最後の選手は0秒と同時にゴールにヘッドスライディング.チップは計測されただろうか.0秒と同時にゴールは閉鎖,しかしまだ登ってくる選手は大勢いる.わずか数秒間に合わなかった選手もいる.明暗が分かれた瞬間だ.
 NMCメンバーはさすが実力者ぞろいだ.私自身は登りや登山道,岩場などの練習をそれなりにこなしていたおかげで,当日の登山もあわてることなく迎えることができた.自分にとってアドバンテージになっているはずとは思っていたが,やはり私は他のメンバーとは基本走力が数段違うようだ.まあ成績はともかく,完走率が50%を割る大会,完走できたことだけでじゅうぶん嬉しい.後日談:完走率は昨年より少々低かったらしい.
 ゴール後は約90分かけて自力で下山.5合目でバスに乗り換えスタート地点へ戻る.途中natsucoさんからお祝いメールが届いていた.サブトラ班掲示板のGTmail速報を見てくれていたようだ.うどんを食べ,諏訪湖SAの温泉に入って帰路についた.
 さあ,次は秋田100kmサブ9だ!

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