24時間戦えますか?

〜24時間東京チャレンジ個人の部〜
石川は23時間57分43秒168.96kmを走破,スタート55人中6位でした


今回のテーマは「しっかり食べる」
 目標は200kmと大きく挙げておいたが,実際は180km行ければ大成功かなと感じていた.野辺山以降の治療期間中ランがゼロだったことを考えれば,その180kmだって自信はない.個人の部のエントリーが61名であることを知り,優勝は220km,ベスト3の表彰台ラインは200km,180kmで5−6位,160km(100マイル)でベスト10と予想した.万全なら表彰台も射程圏内ではあったが,万全ではない今回でもなんとかベスト10には名前を残したいという気持ちでスタートを待った.萩に続いて気温が高くなりそうだったので,とりあえず無茶はしないよう無理することに決めた.
 気温が高いと食欲は無くなる.食べずに走れば当然筋肉中のグリコーゲンも不足する.グリコ不足の筋肉が運動を続けると,筋肉繊維を自分で破壊しながら動く.そうなるとケイレンや肉離れ,腱などのトラブルが起きやすくなる.そのことは先月の萩で実証済みだった.そこで今回は「しっかり食べる」をテーマとした.用意した自前の食料は,
  ・パウンドケーキ 6000kcal分
  ・アルファ米の赤飯と白飯 各2食
  ・アルファ米のドライカレーとガーリックチキンピラフ 各1食
  ・フリーズドライのカツドンの具とマーボー豆腐の具 各1食
  ・フリーズドライのおしるこ 2食分
  ・フリーズドライのおかゆ 2食
  ・じゃがいものコールドスープ 1食
  ・コンソメスープとトマトスープ 各1食
  ・コーヒー,紅茶,爽健美茶 適量
  ・練り梅 1本
すべてお湯があればできるものばかりである.結果的にはこれらをすべて完食しただけでなく,オフィシャルから提供されたもの(バナナ,みつまめ,梅干,オレンジなど)も結構食べていた.おかげで腱や関節などにトラブルは一切無く,休憩以外では最後まで歩くことなく走りきることができた.

スタート直前
さあ,長野MCの看板を背負って
司会はヤッパリこの人,高瀬みどりさん
「みなさ〜ん,こ〜んにちわ〜!」
前日の金曜日(6月6日)が誕生日だったそうです

スタート
 コースは1周1.28kmで全くのフラット.ただし左コーナー(ほぼ直角)が6回,右は1回と極端にアンバランスで,足首やヒザへの負担が心配される.コーナー手前でスピードを落とす必要がある.トラックは硬い土で,ちょっと走っただけでソックスやシューズが薄茶色になる.そこを半周し,外周道路(舗装道路)へ出て約1km,再びトラックに戻ってすぐにリレーゾーンとなる.
 クラブウエアに身を包み1周のアップから戻ってくると,「みなさ〜ん,こ〜んにちわ〜!」というやたらテンションの高い女性の声.これは聞き覚えがある.そう,あの高瀬みどりさんだった.それに坂本雄次さんもいるではないか.
 スタートラインに並ぶとカウントダウンがはじまる.午後1時,「3,2,1,スタート!」でいっせいにスタートした.24時間リレー(ピンクたすき)が69チーム,6時間リレー(青たすき)が32チーム,24時間個人(たすきなし)が61名のエントリーだった.

スタート直後
長い一日がはじまった
たすきはリレーチーム
個人はたすきなし
コース沿いのポピーが美しい
遠くにランナーが見える
陣太鼓も応援で盛り上げてくれました
オーロラビジョンはリレーゾーン300m手前の様子
を中継,このおかげでリレーもスムースに

やっぱり24時間リレーはこうじゃなくちゃ
 はじめて都内で開催した24時間リレーとのこと.でもやっぱり24時間リレーといえば仮装チームである.富士北麓でもおなじみだ.ここでも,参加チーム数こそ少なかったものの,仮装チームが目を楽しませてくれた.24時間リレーはまさにランナーのためのお祭りである.

佐渡おけさじゃなくて
阿波踊りです
ちょっと太めのセーラームーンと
ミッキーマウスもどき
パンダ暑そう
たすきといっしょにパンダの
頭もリレーしていました!
バドガール
カッコイイ!
24時間リレーチームの愉快な仮装たち,富士北麓もこんなのがいっぱいです

前半の走り
 やはりリレーチームは,どんなに遅いランナーでも私たちのようなウルトラモードと比べるとずっと速い.1km6分30秒ぐらいで入る予定だったが,リレーチームに引きずられてどうしても6分を切ってしまう.しかたがないので,なりゆきに身を任せた.
 8時間をちょっと過ぎた頃,75kmを通過した頃だっただろうか,下腹部に違和感を覚えトイレに行くと尿がオレンジ色に近い.これは危険信号.すぐに走りをストップし,大量の水分と食事をとって1時間ほど休憩することにした.昼間の気温が高く予想以上に汗をかいていたようだ.どうしても萩のときの体験がひっかかる.水を取りすぎるとバテて食事ができなくなり,結果として筋肉や腱に大きなダメージが残ったのがそれだ.しかし水分補給が足りないと,今度は血尿や脱水というトラブルがある.このバランスはとても難しい.
 1時間休憩すると体調は回復した.そこまで8位だったのが,この時点でだいぶ遅れをとって13位ぐらい.しかしまだ12時間以内に100kmを通過することはできる.ここから2時間半で一気に25kmを走り,とりあえず100kmを確保した.もちろんこのタイムの通過では200kmは絶対に無理である.目標を180kmに下方修正した.

11時間経過時の成績速報,石川正昭/長野マラソンCがんばってます
左から順位,ゼッケン番号,周回数,最終通過タイム,距離,氏名
2位の井口氏は100km7時間台,3位の佐藤良一氏は(たしか)スパルタスロン完走という
ビッグネームたち.佐藤氏は今年の萩往還250kmを43時間30分で完走しています.

中盤の走り
 100kmを確保したことで安心し,ここでカツドンを食べることにした.ここからは1時間ごとに20分ほどの休憩をとりながらの走りとなる.それにしても腰掛けて休んでいると20分などあっという間に過ぎてしまう.100kmを過ぎたところで,サポートの家内は寝袋に入ってしまったため,ここからは朝まで一人でがんばらなければならない.1時間に4周(約5km)しては休憩を何度も繰り返した.時間は経つが距離はちっとも進まない.
 1周10分で4周+休憩20分を繰り返す.この時刻ではまわりのランナーもほとんど歩いており,1時間で4周がやっとのようであった.私も同じ1時間で4周だがパターンはちょっと違う.2−3月のサブトラ練習のおかげか,走り始めるとどうしてもスピードが出てしまう.走っている間はほとんど抜かれることはない.そして休憩中に抜かれる.したがって順位は全く変わらない.

待ちに待ったカツドン中
萩とちがって今回はよく食べました
なんとか12時間以内に100kmをクリヤー
時刻は午前0時56分

いよいよ終盤〜ラストの誤算
 朝9時,20時間が経過した.途中成績速報を見ると,トップはだんとつで2位に20km以上の差をつけている.これは220kmペースだ.2位から4位は何時間も前から大混戦状態.休憩の取り方で順位が入れ替わるようである.5位はそこから10km以上離れている.さらに5km遅れて私,その後ろは2−3周おきに10位までという感じであった.

20時間経過時の成績速報,長野マラソンCまだ粘ってます
トップはだんとつ,2〜4位は大混戦,井口氏は途中リタイヤのようです

 22時間が経過した.日差しが強く気温が上がってきている.リレーチームはいよいよラストスパートに入り,いちだんとスピードが上がってくる.夜中に歩いていた個人ランナーも,ヨロヨロと走り始める.声援もどんどん大きくなる.会場全体のこの一体感は24時間リレーならではのことだ.私もラスト1時間,下方修正された目標180kmも達成できないことはもう明らかではあったが,休憩ナシで最後まで走ることにした.「石川さんがんばれー」と名前で応援してくれる人も多く,とてもうれしい.

個人の部参加者のための合同テント
明け方6時前,休憩中
うつぶせの黒タイツが石川です
午前11時,気温は高いけど
ラスト2時間がんばろう

 23時間44分,ゲートを通過した.残り16分.ここまで1周9分まで落ちていたので,「もう2周はできない,これが最後の周回だ」と決めラストランに入った.家内にも「これが最後ね!」と言ってゲートを通過した.途中で応援してくれている人にもハイタッチで「これで最後です.応援ありがとうございました!」とお礼を言いながらの周回.「ラスト1時間は何周したんだろうか.もうわからないや.まあいいか.」という気持ちで最終コーナーを抜けてトラックのリレーゾーンに入る.時計は23時間52分20秒.「ああ,終わったー.でもおしかったなぁ,あと2分あればもう1周できたのに.」
 ....とそのとき,目の前にいたゴール案内スタッフが私に「あと8分!もう1周!行くでしょ!」....え,うそ,ほんとに,もう1周するの?だってもう7分しかないよ?でもなんだか行かなくちゃいけない雰囲気だな.えーい,もうヤケだ,行っちゃえ!
 そこから爆走モードのスイッチが入った.さっきお礼を言った人も私を覚えていて「あれ?また来たの?」.1周をなんと5分20秒で帰ってきていた.23時間57分43秒,本当に最後の周回を終えた.両手を広げてゲートを通過すると,両脇の人垣にいる人たちがみんな手を出して握手をしてくれた.

さあビールだ
 この大会は公式にビール(正確にはアサヒの発泡酒スパークス)がもらえる貴重な大会である.リレーチームは一箱(350ml24缶),個人も6缶がもらえる.少し前からクーラーボックスでそれを冷やしてあり,まずはカンパイ.これがまたうまい.
 続いて,ステージで個人の部参加者の記念撮影.みんなよく日に焼けている.さらに私は高瀬さんとツーショット.最終結果を確認して会場を後にした.

ゴール5分後の写真
フィニッシュの写真は無いけど
まずはビールでしょう!
個人の部の参加者が全員集合
石川もいます.わかるかな〜?
最前列左から2番目(腰掛けている黄色パンツ)は71歳
彼のゼッケンは161です.最終結果に注目,なんと・・・!
高瀬ハイテンションみどりさん
と握手で記念撮影
NMCのHPもご覧になっているようで,
石川の名前も知っててくれました(喜)
最終結果,長野マラソンCをしっかり残してきましたよ!
追加情報:優勝の岩本氏はランナーズ平成15年9月号に紹介されています.

大会HPはこちら http://www.r-wellness.com/24tokyo/
リレーチームや個人の全成績や,2時間ごとの途中経過もここに発表されている.ちなみにリレーチームの優勝は426km,平均で3分20秒/kmである.このチームは12名編成だが女性が3人,恐ろしい....