全28話の感動物語

〜戦いは37日前から始まっていた〜

平成15年9月14日,武捨さん2度目の丹後を快走・・・これも奥様と田村シスターズの応援のおかげ


左の建物はスタート・ゴール地点

その1(8月8日)
 先日も書きましたが、7月24日(木)、今年も丹後100kにエントリーしました。遅れましたが、田村さん、こちらこそよろしくお願いします。コース上では無理そうですが、せめてスタート・ゴールでは顔を合わせたいです。。。
 8月5日(火)に宿泊の案内が来ました。とりあえず、昨年宿泊した八丁浜横の宿希望で前日のみを予約。レース後は宮津で安いホテルを見つけたのでそこを1泊朝食のみで予約しました。というか、昨年、同じ八丁浜の宿に2泊して、レース後に間人蟹(「たいざがに」と読む。)を始めとするご馳走をひとつも食べることができなかった自分を思い返すと、今年は少しは食えるかもと思いつつも、料理を作ってくれた宿の方に申し訳ないし、自分の胃袋が受け入れられるものを自分で選択できる環境のほうがずっと良いとの判断で宮津に移動することにしました。
 ・・・と、ここまでは準備万端なのですが、24時間リレーの数日後から、また右足首の調子がよくありません。先日の8月2日(土)朝7時30分前、中村先生のところに到着。さあとなったらこういうところだけは速い。2番目の診察でした。・・・で診てもらったところ、フットボーラーズフットという、なにやら聞いたことのない故障名が先生の口から告げられる。サッカーのプレイヤーに多く、坂の上りをやり過ぎると足首の付け根あたりの骨が突出してきて痛みを伴うようになってくるらしい。う〜ん、奇妙な故障になってしまったものだ。で、この1週間超音波治療を続けていて、職場でもエアコンの近くで仕事をしているので右足だけ靴下を重ね履きしています。
 トレーニングはというと、そんなわけで8月に入ってほとんど走ってなく、不安は日ごとに膨らんでくるばかり。でも焦ったら元も子もないのでキッチリ治す方向で、出来るトレーニングをしっかり続けてやっていこうと思っています。
本日のメニューは今月号のランナーズP.16に載っている「水中ジョギング」。おすすめ60分エクササイズほかを実践。それにしても、水中ジョグと陸上の7分30秒のジョグが8.0METSで同じエネルギー消費量というのは今の自分にとってすこし嬉しくなります。

その2(8月10日)
 8月9日(土)、中村整形外科で診察後、1週間経ち、2回目の診察に行く。朝、7時28分に自宅を出る。途中、八十二銀行本店南の交差点で信号待ちをしていると、メトロポリタン方向から塩沢さんが走ってくる。助手席の窓を開け声を掛けると気付いてくれた。それにしても、いつ見ても力強い走りだ。到着は7時45分過ぎくらいだったか、既に順番待ちの方が3名いた。到着の時間帯と土曜日ということを考えると意外と空いていたほうだ。台風10号の影響で皆さん出足が遅かったのかもしれない。マイクロ波治療後、しばらくして診察。爪先立つとまだ痛みがあること、今週1週間の様子、9月に丹後100kをエントリーしていることなどを話す。「そーか、あと1ヶ月ちょっとだなー・・・」と先生は考え込み、「注射をするか」と言われた。効き目があり、すぐに痛みが消えるらしいのだが、その後また無理をすると元に戻る心配があり先生も躊躇していた様子だったが、相談の結果、足首に注射を打つことになった。針は最も細いものを使用していただいたため、最初針が入る時にチクリとしただけで、あとは痛みは無かった。鍼を打ったことはないがこんな感覚なのだろう。薬剤が足首に流れていく感じは不思議な感覚だった。注射のあと、しばらくして「つま先で立って歩いてみて。」と言われる。あれれ、不思議だ。痛みが出ない。とりあえず、もうしばらくマイクロ波治療は続けることになったが、痛みが薄らいだことは嬉しい。無理してぶり返さないことだけ注意しようと思う。
 しかし、注射はすごい威力だ。7月に診察してもらった時にも注射をすれば速攻よくなると言われていたのだが、きっと最終兵器なのだろう。痛み止めでは無いはずだが、何の薬か聞くのを忘れた。次回聞いてみようと思う。
 会計まで時間があったので待合室にある旭化成のカレンダーを眺めていた。7・8月は北海道マラソンの写真が入っていた。来年のカレンダーにはサブ3達成した羽田さんの姿があるといいなーと思う。よく見ると、先頭の間野敏男選手のすぐ横に佐々勤選手がいた。佐々さん、この間の富士北麓24時間リレーの時、朝方、パワフルにまた楽しそうに走っていたっけ。うーん、何か身近な感じで良い良い。
 先生には、「注射をしたので、今日は風呂に入っちゃダメ」と言われたので、午後は水中ジョグか温泉治療などと思っていたのだが、取りやめ。
 夕方、暑気払いに参加。かなり飲んだ。お酒はダメって言われてなかったのでいいよね。
スタートまであと35日

その3(8月16日)
 昨日のお盆駅伝では、故障した右足をかばった走りをしてしまい、Dチームのみんなに迷惑を掛けてしまったが、おかげで?足の痛みは出なかった。雨のため早めに帰宅できたので、午後DEPOへ行きシューズを購入した。以前から目を付けていたMIZUNO WAVE EXPLORERだ。
 そして今日、そのエクスプローラを履いて1時間半ほど走った。(こんなに長く走ったのは今月初めて...)さすがWAVE、クッション性は抜群だし、フラットソールで安定感もかなり良い。まさにウルトラ用といったところのシューズだ。以前から愛用しているプリシジョンより重いのが気に掛かるが、足入れ感はとてもよく、かなり自分の足にフィットしている。丹後ではこのエクスプローラとプリシジョンで走るつもりだ。
 8月もいよいよ後半。少しずつ走る時間を増やしていかねば。
スタートまであと30日

その4(8月17日)
 8月16日(土)、曇っていて今日も涼しかったので走ろうと思ったが、今井駅前のSAMがお盆特別料金だったので行ってみた。SAM長野、新しくて気持ちがいいぞ。マッサージ機もあるぞ。更衣室もきれいだ。お茶・紅茶のサービスもあるし、トレッドミルもPolar製の最新鋭機。ふむふむ...と見て回る。
 丹後に向けて、長い時間身体を動かすのが今日のテーマ。エアロバイク1h、トレッドミル40min、水中ジョグ1h10min動いた。水中ジョグは全身に効く感じが良い。しばらくハマりそうだ。
 それにしても、特別料金のためか人が多かった。プールなど子供やおばさまであふれていた。きちんとフリーウォークのコースにいてよかった。間違ってプログラムのエリアでやっていたら、おばさま方の水中エクササイズに吸収されるところだった。危ない危ない...
スタートまであと28日(4週間)

その5(8月17日)
 8月17日(日)、1日中ずっと雨だった。丹後に向けて、今日こそは長い時間走りたかった。
 午後3時ごろ、一旦雨が止んだので走りに出かけた。丹波島橋を渡り、裾花川の土手に出た。このコースを走るのは久しぶりだった。土手道の3分の2くらいは生い茂った雑草でおおわれ、冷夏とはいえ夏の装いだった。マルコメ味噌あたりから雨が強くなってきた。もっと走りたかったが桜坂を登ったところで、あきらめて折り返すことにした。帰路、実家によって雨で濡れたTシャツを脱水機にかけた。ユニクロドライTシャツのおかげでほとんど水分が脱けた。黄色のタオルをもらい頭にかぶって実家を出た。しばらくすると雨は小降りになってきた。丹波島橋を渡り終えるあたりですれ違った車の中から誰かが声を掛けてくれた気がした。誰だったのだろう...
 5時20分頃、自宅に到着。20キロほど走れた。足首に痛みは出なかったが、終盤違和感が少しあった。家の中に入ると、カミさんがラジオをかけていた。SASの「夏をあきらめて」が流れていた。
スタートまであと27日

その6(8月19日)
 8月19日(火)、夕方帰宅前に南長野運動公園に寄って外周をゆっくり走った。1周2.5Kくらいだろうか。5周したので12キロちょっと走ったことになる。テニスコート、サッカー場、野球場、どれも照明がついていて明るくて走りやすかった。そうそう、隅のほうに土俵もあり十数人が四股を踏んでいたっけ。それにしても、これだけいろいろ設備があって、陸上トラックが無いのは何故だろう。エクスプローラで走った。どうも重たい感じが相変わらず気になる。右足首の違和感は出なかった。
 数日前から禁ビールに突入。炭酸系は丹後が終わるまで止めることにした。なんてストイックなんだーと自分でも思うが、丹後を満喫するためには自分にとっては必要不可欠なことなのだ。このところ涼しい日が続いているのでありがたいが、今週後半は太平洋高気圧が勢力を回復させるらしい。23日あたりは暑くなりそうでビールも旨いんだろうなー。どこまで欲望に耐えられるか...
スタートまであと25日

その7(8月21日)
 8月20日(水)。妙高トレイルランニングの締切日だった。以前、木島平の替わりにエントリーしようと思い、サンバレイの尼子さんにコンタクトをとり要項を取り寄せたが、今のところトレイルをスピードを上げて走れる足ではない。翌週に丹後が控えているのことを考えるとエントリーするべきでないと判断。取りやめにした。尼子さん、ごめんなさい。来年は出ますから...
 おっと、浦佐温泉40Kもかぶってたっけ!?
スタートまであと24日

その8(8月24日)
 8月24日(日)、碇高原対策で飯綱東高原へ走りに行った。
 昨日のサブトラナイトラン41周で少ししんどい感じはあったが、8時15分出発。天気は曇りの予報だったのに、最初から陽射しは強く暑かった。丹波島橋手前で自転車に乗ったとくさんが声を掛けてきてくれた。久しぶりに見るとくさんのあづみのジャージだった。懐かしい。去年の丹後以来である。思えば彼女は丹後を走ったばっかりにNMCでウルトラ中毒患者となってしまった気の毒な人だ(笑)
 裾花川沿〜善光寺〜上松:暑い...
 昌禅寺:自販機でミネラル水を補給
 ブランド薬師上:「そば処薬師」の看板。山の中に怪しいそば屋ができたようだ。
 ループライン:途中、松木農園直売所でスポーツドリンクを補給。
 北郷:集落の急坂を上る。涼風になってきたが、照り返しが暑い。
 ひまわり:集落を過ぎると500mくらい続くひまわりの小径に出る。満開!!
 大池:飯綱山がきれいに見えるビューポイントだが曇っていて裾野しか見えなかった。
 リゾートラインに出るまで:10%の勾配の上りが延々と続く。きつい。暑い。死ぬかと思った。
 リゾートライン〜京急GC:一気に下る。残りの水分200ML。
 京急GC左折:スタートして3時間04分経過。5月の連休の時より10分ほど遅い。
 野菜直売所付近:そばの花が満開!!
 天狗の館:到着3時間23分。かなりへばった...すかさずソフトクリーム購入。旨い!
霊仙寺湖脇でサポートで来てくれた妻と昼食。夕方に用事があったのでここまでの予定だったが、もう少し時間に余裕があったので、下って信濃町・富士里のモンマートまで走る。ここでタイムアップ。
新しくなったアスティくろひめで入浴して、ビール!旨い!いけない、いけない。また飲んでしまった^^ゞ)
スタートまであと20日

その9(9月6日)
 結局、月間の走行距離は7月は210K、8月190K。どうみても走りこみ不足は明らか。でもまあ、水中ジョグやエアロバイクなど、やれることはやってきたし、8月後半、足のほうも急速に回復してきたし、三田さんも「練習が少ない方が良い結果の場合もある...」と言ってくれたし...とりあえず9月14日4:30am前、気持ちよくスタート地点に立てそうな気配だ。
 昨日、三田さんから幟り旗を1枚もらった。んー、で...でかい。妻に応援バスに携帯してもらおうとも思ったが、絶対拒否されそうだったので黙っていたら、向こうからあっさり拒否されてしまった・・・会場付近に立てておければいいのだが。
スタートまであと7日と4時間ちょっと

その10(9月8日)
 9月7日(日)朝5時25分起床。
 自宅前にある地区の公園(遊園地)の除草の日だ。目覚ましを掛けておいたが、アラームが鳴る5分前に目がさめた。緊張している時はこういうことがよくある。
 今年の丹後はスタートが朝4時30分。昨年より30分早い。前日の睡眠もより緊張モードになりそうだ。また、宿の方も準備が大変だ。当日の朝食は何時になるのだろうか。
 除草作業は7時15分くらいまで掛かった。朝肌寒かった空気も日が昇り終了時間に近づくにつれ暑くなり、結構汗をかいた。丹後では暑くなるであろう7時過ぎまでにどこまで走れているのだろうか。鏡のような静かな久美浜湾を気持ちよく走れていればベストなのだが。
スタートまであと6日

その11(9月9日)
 うむむ、走行距離といい、ビールの量といい、あまり変わりがありませんね。禁ビール宣言をしていたのに、意志薄弱で相変わらずこちらもビール三昧の日々です。
 のぼり旗、預かっていただくとありがたいです。途中のエイドで目の中に飛び込んできたら元気が沸きそうですもんね。
前日は「シーレイク浜招月」に宿泊します。当日の朝は体育館かその入り口あたりで...お会いできれば...いずれにしても連絡します。ちなみにナンバーは138です。
 それではよろしくお願いします。
スタートまであと5日ですね

その12(9月11日)
#きのしたさん、natsucoさん、応援ありがとうございますー。
9月11日(木)、朝5時30分起床。久しぶりに朝走る。
このところ平日はずっと夕方あるいは夜の練習が多かったが、そろそろ当日に向けて体を朝仕様にかえていかねば。
今朝は涼しかったが、日中はまだ残暑が続いている。台風の接近もあったり、週末の気象状況も気になるところだ。
スタートまであと3日

その13(9月13日)
9月13日、朝5時半。これから丹後に向けて出発。
田村さん同様、9月に入って仕事に追われ充分な練習ができていない。右足首は本当に完治しているのか。明日は30℃を越す真夏日の予想。いろいろ不安や緊張があるが、肩のちからをぬいて楽しんでこよう。きっとうまくいくはず。
スタートまであと23時間

その14(9月13日)
9月13日10:00am 妻に運転を交替してもらい北陸道を一路西へ。福井市通過中。気温33℃。猛暑に加え、南からの強風がすごい。んー、難敵がいっぱいだ。
スタートまであと18時間半


そして迎えた当日・・・午前3時3分

前途多難を思わせるすごい雨です・・・行ってきます

その14時間後・・・

丹後100Km無事完走しました。レース前のカウンダウンに付き合っていただいた方、応援いただいた方、皆さん、ありがとうございました。詳しくは「たんごNo.15」以降で報告します。(まだ続くのかって?そーです。続くんです。)現在、北陸道・金沢東通過。気を付けて帰ります。#階段の上り下り、脚全体が痛いっス。

その15(9月16日)
 9月13日(土)午後3時20分、「あじわいの郷」に到着し受付を済ませた後、スタート地点となる八丁浜へ様子を見に行く。大きな夕陽が七竜峠方向に沈んでいくところだった。風が強く海は荒れていた。いくつものサーフボードが波間に浮かんでいた。会場周辺に立てられた大会の幟り旗も強風でいくつも倒れていた。
 5時頃、会場から1キロほど東にある本日の宿「シーレイク浜招月」に到着。夕食を済ませた後、明日の準備を整えていたが、いまだ強風が収まる気配がない。
暑い。夜になったというのに暑い。8時半、エアコンをかけたまま就寝。

スタート直前,田村親子と

その16(9月16日)
 エアコンの音、荒れる波の音、そして緊張でなかなか寝付けない。1時半に目覚ましを掛けたが、結局1時頃、目覚ましの鳴る音を聞くことなく起床。実質4時間ほどの浅い眠りだった。しばらくストレッチなどしていると今までと違った音が外から聞こえてくるのに気付く。雨だ
 窓を開けると風はだいぶ収まっていたが、宿の1階の屋根に雨が強く打ちつけている。天気予報では曇り後晴れだったはずなのでしばらくすれば止むだろうと思っていたが、2時半、朝食を食べ終わっても一向に止む気配がない。必要ないと思っていたビニール合羽を一応用意する。
 3時40分、会場まで歩いていく予定だったが濡れるのが嫌だったので宿の送迎バスに乗り込むことにする。外に出てみると雨は小降りになってきたようだ。田村さんに電話を入れ会場で合流。なんでも昨夜(まだ夜なのだが)は浜で車中泊だったとのこと。雨と風でさぞ大変な一夜だったことだろう。
NMCの幟り旗をいれ、田村さん親子と一緒に写真撮影をし、4時20分、スタート地点に並ぶ。

その17(9月17日)
  雨は止んだ。開会式では高瀬みどりさんの司会でスターターの山田花ちゃんが紹介され、いよいよスタート。
大きく深呼吸を2回いれる。…5・4・3・2・1・スタート!800人近いランナーが一斉に動き出す。
 あれれ?高瀬さんのカウントダウンの大きな声は聞こえたが、花ちゃんのピストルの音は出なかった。こんなところでもきっちりボケかますなんてさすが吉本の芸人だ。
 スタートするとすぐまた雨が降り出した。海岸通りから浅茂川に架かる橋を渡ると七竜峠の上りが始まる。雨は小雨ではあるが確実にTシャツを濡らし始めた。辺りはまだ真っ暗。山賊でも出てきそうな坂道だ。
 5K地点はどこだったのだろうか。暗くて見落としてしまった。峠の頂上にエイドがある。ここが7K地点。時計を見ると41分台。あれ?なかなか良いペースだ。
 上りを前後しながら走っていた女性から雨が強くなってきたので合羽着ようかな...と声を掛けられたので、蒸れると思いますよと答える。そう、どちらかというと気持ちの良い、そう思える雨だった。トイレに寄って給水して下りに入る。峠の下りも順調なピッチで無理せず下る。辺りが少し明るくなって丹後の海がよく見えるようになってきた。素晴らしい眺めだ。下りの途中、痛めた右足首に少しだけ違和感を感じたがすぐそれも消えてくれた。
下り終えると10K地点。
0〜10Kは1:00:43:56で通過

スタート直前の武捨さん(左)と田村さん(右) 坂本さんと花ちゃん

その18(9月17日)
 10Kを過ぎると夕陽ヶ浦温泉街に入る。沿道の応援もあって気持ちよく走れるところだが、なにかどうも変だ。眠い。走っていてウトウトする瞬間がたびたびある。確実に睡眠不足だ。
 12.5K地点を15分台で通過。13Kあたりで一時大雨になりどうなることかと思ったが、しばらくするとまた小降りに。
10〜15Kは0:28:40:37で通過
 16.5K、久美浜SANKAIKANに到着。雨は止んできた。ここは応援バスの最初の応援ポイント。妻が出迎えてくれた。「速いじゃん」とびっくりされる。本当にペースは良いようだ。小腹が空いた感じがしたので妻の持っていたピットインゼリーをもらい、すぐにスタート。久美浜湾に向かう。海辺ということでこの辺りは比較的平坦な道が続く。湾の南側あたりで20K地点。
15〜20Kは0:32:09:54
順調なペースだが、睡眠不足の眠気は続く。

久美浜湾

その19(9月18日)
 久美浜湾沿いは海辺の田舎町といった風情で好きな場所だ。「久美浜」という響きも良いし、きれいな名前だ。時計回りに湾を眺めたりスルメやカレイの干物を見ながら走っていく。多少のアップダウンはあるがきつくはない。「大向」という地区で陸橋を渡り、海に(川かもしれない)架かるでっかい歩道橋を左に見ながら右へ曲がっていく。ここらあたりだったか、昨年徳武さんに声を掛けられた場所だ。妙に懐かしい。
20〜25Kは0:32:15:58
 25Kを過ぎて雨は完全に上がった。曇り空で走りやすい。帽子を脱いで走るとこれがまた気持ちがいい。しかしまだ時々眠気は襲ってくる。加えて少し空腹気味になってきた。30Kの旧臨海学校がエイドになっているはずなのでそこをとりあえずの目標に走っていく。
 30Kのマットを踏んでエイドに到着。7月の富士北麓24時間リレーで途中ガス欠になったことを思い起こし、ここはバナナとアンパンで充分に補給。次に待ち構えている七竜峠の帰路に備える。
25〜30K、0:31:57:33

その20(9月20日)
 30Kのエイドでバナナとアンパンを食べたら眠気が去った。やっと目が覚めた感じだ。久美浜を1周してもと来た道に戻る。夕陽ヶ浦に入る前、おばあちゃんが飴を配っていたがここはパス。前に進むために必要なものではない気がした。どんどん進む
30〜35K、0:32:19:41
 夕陽ヶ浦温泉を抜けると再び七竜峠へ。帰りの上りのほうが急峻だ。この七竜峠の帰路を歩かないで全部走りきる。これが今回の丹後のひとつの目標であった。上り始めると、よしっ!と気合が入った
 37.5Kの手前でタイガースのユニフォーム姿のおねえさんがトラッキーを帽子につけて沿道で応援してくれていた。気持ちの良い笑顔だった。元気が出た
 峠頂上のエイドが見えてきたが、去年はここで歩きを入れてしまったところだ。気を引き締めてテンポよく上ることだけ心がける。歩かなかった。全部走った。七竜峠を越えると同時に自分もひとつ越えたような気がした
峠をしばらく下り40K地点到着。
35〜40K、0:34:49:68
スタートから4時間12分56秒経過

その21(9月21日)
 自宅の洗面所の壁に1枚のカレンダーの写真が貼ってある。昨年のランナーズの9月のカレンダーで、七竜峠の下りを走る丹後のレース写真である。
 下って下って42.5Kを通過。すでにフルの距離を越えていた。キロ表示から目を離し、前に目をやると、そのカレンダーの光景が飛び込んできた。まさに写っていたリアス式海岸だった。よく見ると海岸の先に昨日泊まった宿が見えていた。まだ半分も走ってないのに帰ってきたよーっと叫びたい一瞬だった。
 下りを終えて44.6K、浅茂川漁港に到着。うどんを食べながらファイテンのマッサージを受け出発。
40〜45K、0:33:13:05
 スムーズに下ったつもりだったが、マッサージで手間をくったようだ。
45K過ぎから網野町の街中に入る。この辺りから薄日がさし少し暑くなってきた。天気予報はウソつかなかった。これからしばらく平坦な道が続くが、同じような景色が続き、自分にとっては気分的につらいエリアだ。ゆるやかな上り坂の途中で50Kのマットを踏む。
45〜50K、0:32:50:95
50K地点で5時間19分00秒経過

その22(9月22日)
 51.6K、高台にある「あじわいの郷」に到着。昨日受付をした場所である。ここも応援バスの応援ポイントになっている。坂を上り園内に入ると妻が出迎えてくれた。まだペースが良いらしく、ひとつ早く出発するバスに乗れると喜んでいた。
園内をぐるり周り始めると、
「あっ!長野...」「長野の人!」と数人のスタッフの方に声を掛けられる。
あれっ?自分って俄かに人気者?有名人?とか思っていると、
田村ちゃ〜ん、お友達の人よー。」とそのスタッフのひとりが園内の奥にあるエイドに賭けていった。
違った。そんなわけないよな。田村さんのお嬢さんたちが人気者だったのだ。このエイドで田村シスターズはしっかりボランティアとしてお仕事していたのだった。きちんとNMCののぼり旗も近くに立てられていた。うれしかった。
 園内を出て55.9Kの弥栄町役場に向かう。暑くなり走りがだいぶ苦しい。途中、「鳥取」というバス停があった。そうだよなー、ここは鳥取(県)に近いんだよなーなどと思っていると、近くの建物からカタコンカタコンと小気味いいリズムの音が聞こえてきた。丹後ちりめんの工場なのだろうか。この近辺はいくつも信号があり、赤信号に変わるのを見つけては少し休めるぞとホッとしていた。前半とは違って疲労が溜まり始めていた。
50〜55K、0:33:09:87
 
弥栄村役場には10時30分に到着。暑いのでとりあえず給水したあとおにぎりを半分、塩を塗って食べる。着替えができたが、ここは着替え袋に入れてあったエネルギーゼリーだけ摂ってかぶり水をして出発。着替え袋の受け渡しでもたついたためか少し時間を無駄にしてしまったようだ。そしてだいぶペースも落ちてきた。60K少し手前からいよいよ碇高原の上りが始まった。
55〜60K、0:48:07:90
60K地点で6時間40分17秒経過

あじわいの郷の応援バス 田村シスターズの応援がうれしい

その23(9月23日)
 すでに碇高原へのひとつ目の上りが始まっている。この上りは頂上まで何とか粘りたかったがとても無理だった。電柱を3〜4本走り1〜2本歩くインターバルを繰り返した。途中、左足の外側に痛みが走った。一旦止まった。少し前に抜いた女性ランナーにまた抜き返されたのがわかった。やばい。ここで終わりかと思った。痛みのある部分を手で強く圧迫してみる。足の外側を伸ばしてみる。少し歩いてみると次第に痛みは消えていった。ホッとしてまた走り始める。
 トンネルを抜け頂上。下りは一気に下りる。途中のエイドでかぶり水。アミノバイタルを1包飲む。
60〜65K、0:40:14:28
 下り終えると少しだけ平坦な道が続くが、66K過ぎのエイドからまた上り坂となる。電柱も無くなり電柱インターバルもできないので、立ち木を替わりの目安にして進む。しかし、しばらくすると坂は急峻になりそれもできない。ひたすら歩きだ。周りのランナーもみんな歩いている。負けないよう必死でピッチをあげて歩く
 5月の野辺山・馬越峠を思い出した。あの時はヘトヘト状態で後続に次々に抜かれたが、今回はしっかりしたペースでまわりのみんなと一緒に歩けている。
 69.9Kのエイドにやっとのことで到着。暑く苦しかったが時折吹く風はさわやかな高原の風で気持ちが良かった。エイドについても心臓はバクバクしていた。また水をかぶって塩を舐め水を2杯飲んで出発。エイドのすぐ上が70K。
65〜70K、0:43:43:88
70K地点で8時間04分26秒経過

その24(9月24日)
 70Kを過ぎてもまだまだ上る。これでもかというくらい上りが続く。あと2Kで上りが終わるはずなので、上りの終点まで気合を入れて歩く。で、ときどき走る。上りの終点と思われる丹後半島縦貫林道に出て碇高原総合牧場に向かう。勾配はやや緩やかになったが、まだ若干の上りだ。標高が高いので風は涼しく気持ちいいが、林道の日陰を選んで走る。牧場まで長かった。まだかまだか。。。
「あと200mでエイドですよー。」
沿道から声を掛けてくれる人がいたが、この200mはとても長く感じた。道が左へカーブすると強い風が吹いてきた。目の前に碇高原総合牧場が広がった。73.3K、碇高原のエイドに到着。水を1杯飲み、梅のおにぎりを食べる。さすがにかなり疲れた。ファイテンのマッサージを受け、着替えテントでかぶり水で濡れたソックスを履き替える。隣りでひとり横になっている人がいた。誘惑に駆られた。1分だけ横になった
 1分経ち、よしっと気合をいれ、ぬるめのココアをもらい出発。碇高原の下りが始まる。しっかり休んだおかげか少し元気が出てきた。風が吹いていて気持ちが良い。
「走ってる人、少なくなってきたなー。」
下りながら思った。
70〜75K、0:52:00:05
下りは一気だった。昨年28分台だったので、それ以上を目指す。先を行くランナーをひとり、またひとり抜いていく。標高が低なってくなるにつれ風も暖かくなってきた。下りが終わり国道に出る。
75〜80K、0:27:43:09
80K地点で9時間24分09秒経過

その25(9月24日)
 しばらく国道を走るが、また脇道に入る。此代峠越えが始まる。昨年ここは一気に走れたが、今回は前半のペースが速かったせいか、途中少し歩きを入れてしまう。ランナーも少なくなってきた。カーブの続く前方には2人しかいない。峠を下り、国道に出る手前で日本海が見えてくる。屏風岩が荒波の中で立っている。絶景!この景色を見たくて走ってきたと言っても過言ではない。85Kまでのモチベーションはこの屏風岩。あとの15Kは気力といったところだろう。
80〜85K、0:35:17:30
 国道に出てしばらく走ると、60Kのランナーと合流する。ランナーが増え少し賑やかになった感じだ。てんきてんき丹後は87.5Kにある。応援バスの最後の応援ポイントである。昨年は最終バス出発ギリギリの通過だったが今回は余裕の到着。妻を含め皆さんの応援を受け、400m先の丹後町役場のエイドに到着。応援の人たち、60K、100Kのランナーで久しぶりに賑やかなエイドだ。ここでもファイテンのマッサージを受ける。おしるこを1杯もらい、空いている椅子にどっかと座った。
前にしゃがんでいたひとりのランナーがにこにこ笑っていた。その笑顔だけで気持ちは分かり合えていた
「あともう少しだね。」
「でもここからあと1つだらだらとした上りになるんだよね。」
近くにあるコースの高低図を見ながら周りの人たちと話をした。
「あー、こんなにきついなんて聞いて無かったよー。」なんて言っている人もいたが、全然愚痴には聞こえてこなかった。
おしるこをぐっと飲み干し出発。90K過ぎまで上りが続く。国道を走るランナーは再び少なくなり、50m間隔くらいでランナーが点々としていた。
85〜90K、0:40:38:05
90K地点で10時間40分05秒経過

てんきてんき丹後,田村さん

その26(9月27日)
 90Kを過ぎる。あと10K。まだまだ10Kという気持ちと、もうすぐ終わってしまうなーという寂しい気持ちが交錯する。国道はだらだらと上りが続いてペースは落ちていたが、すぐ前を走る60Kのランナーふたりを追ったので大幅に落ちることはなかった。
 国道から間人(たいざ)の町中に入る。日曜の昼下がりの静かな海辺の田舎町。また応援の人たちが増え始める。やはり応援をもらうと元気が出てくる。
95K手前はまた急な上りだ。94.8Kの三津小学校のエイドは坂の途中にある。スタッフのおねえさんに「スープどうぞー。」と大きな声でお誘いを受けたが、スポーツドリンク少々と水を1杯飲んですぐに出発。坂を上りきり少し下ると95K。
90〜95K、0:36:18:24
 残りはあと3Kの手前で小さな上りがあるだけで下り或いは平坦な道だ。気力を振り絞り一気に行く。あと3K手前の最終エイド。水を1口含んでどんどん行く。あと3Kの信号まで上る上る。信号は赤だったが、スタッフの方が「どうぞー。」と通してくれた。
 下る下る。右へカーブして道が平坦になると離湖が見えてくるとあと2K。ついに帰ってきたぞーっとうれしくなる。少しガス欠っぽいがここまでくれば踏ん張るしかない。コンビニの先の横断歩道を右折するとあと1K。朝、七竜峠の帰りで応援してくれていた虎ユニフォームのおねえさんがいた。最後の最後でまた元気をもらった。
 蘇鉄の木が並ぶ海岸通りを進み左折。妻がゴールの小学校の入口にいた。もうゴールタイムはどうでもよかった。妻の手を取り、ゴールゲートへ向かった。
95K〜100K、0:30:32:90

ゴールタイム、11時間46分54秒。100K男子148位

その27(10月1日)
ゴール後、体育館で着替え。近くに座っていたフル百の込山春雄さんと話をする。話し好きの面白い方だ。今回は膝を痛めリタイアしたとか、今年の野辺山を走ったとかいろいろ話を聞かせていただいた。70歳だと言っていたので今回最高齢のひとりだろう。元気な人だ。来年、長野マラソンを一緒に走りましょうと言って体育館を出た。
お腹が空いていたので会場の奥で配っていた豚汁を食べに行こうとしたら田村さんがいた。先程ゴールしたとかで、2人で完走を喜び合った。
豚汁は食べ応えがあり、美味かったのでおかわりして2杯食べた。
ビールも飲みたかったが、夕方になり寒くなってきたので車に戻り宮津市内の宿に向かった。
宿の温泉に入り、妻とビールで祝杯をあげたのは言うまでもありません。

その28(10月1日)
まだまだトレーニングしなければというところはたくさんありますが、昨年より52分ほどタイムを更新できたのには満足しています。昨年と違ったペースで走ってみると、またそれはそれで違ったエリアの違った雰囲気の中で走ることができ新鮮な体験もできました。

これで今回の「たんご」は完結になります。今度、いつまた丹後を走れるかはわかりませんが、機会があれば是非また走りたいレースです。最後に応援いただいた方、一緒に参加された田村さん&田村シスターズ、声を掛け合って一緒に走ったランナーの皆さん、丹後のスタッフ・ボランティアの皆さん、そして「たんごシリーズ」の拙い文章にお付き合いいただいた皆さん、ありがとうございました。

大満足の完走メダル これも奥様の応援があってこそ
戦い済んで日が暮れて・・・・