言葉にならない感動のゴールH15.05.18

−懲りてはいない! 次への戦略はすでにある!−八木正孝さんの100km初挑戦手記


野辺山対策練習会での力走
H15.04.26 富士の塔にて

あまりに距離と時間が長く,意識がモウロウとしていた所があり,思い出せない場面が多数あります,細かいことは抜きにしてください.

野辺山を選んだ理由

 上越地方に住んでいるので単純に「くびき野」と行きたかった訳ですが,その後,失うレース(コシヒカリ,松ヶ峯トリム他1ヶ月に及ぶ)が多過ぎると考えました.単純に時期的,地理的な理由によるものです.5月のこの時期は,一段落して他にレースが無い為に,ダメージを負ってもあまり影響が無い事,長野で近い事,と思ったからです.
注)過酷なコースとは知りませんでした

準備-装備

 レースで直前まで悩みました.雨を想定して,上下ロングのCWXに真冬の手袋,帽子はランニングで初めてかぶりました.やはり,帽子は気になって苦手です.序盤のトレイル部分は何も身につけたくなかったのですが,ひとつ問題がありました.CWXにはポケットひとつありません.そこで,一昔前のスイムパンツポケット付きを身につけることにしました.ポケット内は,100均の雨合羽を更にビニルテープでギューギューにしてコンパクトに,バンドエイド,靴ずれブロック,ディクトン56gタイプ,ヴァーム2袋,携帯,普通の手袋をポケットに入れる.というスタイルになりました.このスタイルが唯一,成功でした.今後,僕のウルトラの基本スタイルになるでしょう.手袋も大正解でした,完璧な真冬の防寒手袋でした.

準備-配備

 3ヶ所中2ヶ所選択ということで,後半58キロと87キロを選択.後で紹介しますが,35キロを選択しなかったのが,非常に辛いレースになりました.(シューズトラブルの為)


スタート〜10キロ地点

 とにかくユックリを心掛ける,やれば出来るもんだ.エイド手前からトレイルに入るが10キロ地点,問題なし.武捨さんに抜かれる.

〜20キロ

 登り通し.周りのペースに合わせると歩い方が良いのか,小走りが良いのか迷いだす.早歩きで,乗り切ることにした.が,平地で走る,登りで歩く,この繰り返しが,後々負担になったような気がする.それにしても,女性は決して歩かないと,つくづく感心(これは最後まで思い続く)

〜35キロ稲子湯(20分休憩)

 下りはひたすら飛ばす,分かってはいるけど,失敗失敗.僕の周りにもいたけど歩いたり,走ったりと,気になるランナー,でもいつも同じような場所に居る.“自分もその中の一人でした”お汁粉3杯,味噌汁1杯旨かったです.変なところで気を使う「味噌汁のカワメは消化悪いかも?」と,前歯で濾過して汁だけ飲む.使い古しのシューズでスタートした.が,長野マラソンで作った同じ場所と右親指にマメが出来ていた.ひどくならないうちにバンドエイドで処置,しかしすぐ履き替えたくて仕方がないが,どうにもならない.「この痛み,後何キロ我慢するの?」

〜50キロ

 下りで,右親指付け根裏のマメが悪化する.バンドエイドを剥がして「マメ・靴ずれブロック(バンドエイド製)」を張り直す.初めて,使ってみたが効果大,だいぶ楽になった.途中の下り,リエックス沿いは他のランナーを真似て,草むらの歩道を走る.柔らかくて気持ちよかったです.反面シューズ内は小枝,小石,枯れ草だらけ.

〜58キロエイド(30分休憩)シューズチェンジのみ

 少しの登り坂も走れない状態.登りは徹底して歩くことに決める.マメのことを考えると非常にありがたい,登りだった.エイドでどうやって自分の荷物を探すのかと考えていたら,用意しておいてくれるんですね.おにぎり3個,そば2杯食べる.ディクトンが置いてあり少し損した気分になる.それ程負担にならなかったから良しとする.ウルトラ班のHPを参考にレーズンは一切食べない.シューズのみチェンジする,「アレッひもが無いタイプ」.チップは靴下の中に入れて走る.ここでウェストポーチを装着予定(中身はデジカメ,補給のヴァーム,バンドエイド)だったが,身に付ける気力なしで靴下も換えずそのままの格好で食べて.少し横になり再びスタートする.予め20分と決めていたが,時間が経つのが早すぎる

〜71キロエイド(30分休憩)

 60キロ地点で,靴下の中のチップが反応したので一安心.「71キロにしとけばよかった」と後悔する,71キロのゼッケンを付けている人を見るたびに泣きたくなる.ビスケット,きのこの山,アーモンドチョコレートが妙に美味しい.ビスケットはチビチビ食べて1枚1キロ持ったぞ!!アーモンドチョコのアーモンドは消化が悪いと考えチョコだけ舐めて,アーモンドを口から出す.ここでも妙なところに気がまわる.正直,このエイドでリタイヤするつもりだった.マッサージをしてもらい気分転換,「あと,どれくらいで本格的な峠になる?」とか「どんな登り?」とか話し込む.益々,辞めたくなる.「いってらっしゃい」の一言が,ホントに嫌だったけど仕方なく「行ってきます」

馬越峠

 所々,下から見えるのが嫌ですね.雨が降り出す「うーん,カッパはこのスタイルで正解だったな」と自分を褒める.登りながらフラフラになってくる.よく考えると眠い.何か考えて走ろうと思っても,考えることが無い.考えることを,考えて歩く.登りの途中と,頂上のココアは旨かった,甘ければもっと最高.ポケットの中は,チョコレートでベタベタ.頂上で毛布があったので,横になるが寒くて寝ていられず直ぐ起きる.

80キロ〜87キロ区間

 異常に調子の良かった区間.後は絶対に,走れないことが当たり前なのに飛ばしに飛ばす.実際,山頂エイドのロスを無視すると,4分/kmで駆け抜けた.僕の本当の意味でのレースは,87キロエイドで終わった.武捨さんに一気に追いついた.

87キロエイド(30分休憩)シューズチェンジのみ

 時間を読んで,残り13キロを完全に歩いても完走出来る位まで横になる.うどん3杯,熱々で旨かった.横になった僕を尻目に武捨さんは手際よく,すぐに再スタート,残り全て歩くことを伝える.

87キロ〜ゴール

 ここまで来たら,何が何でも完走したい.残り時間の誤算.87キロエイドで残り13キロを7/kmで歩く計算し再スタート.とても無理なのに気付く.登り以外は全て走ることにしたが,歩くと再び走り出せなかったので,急勾配以外は全て走ることになる.ラスト2キロの看板で急に復活する.ゴール手前石川さんの姿を見たときは更に元気に,そして,皆さんが待ち受ける中,感動のゴール.言葉がありません.


走り終えて

 クラブの皆さん,ありがとうございました.申し込みは,2002年度中に「とりあえず」って感じで行いましたが,クラブに入るまでスタートを切る気にはなれませんでした.2年連続のエントリーのみの予定でした,完走出来た事,以前にスタートを切れたことの方が大きかったのかも知れません.「取り合えず申し込んでおく」のが私のスタイルですが,この感じでこれからも行きます.野辺山にランナー7人と周りの方が集まりましたが,あまりお話出来なかったのが心残りです.
 夜中,家を出た格好が,スタート時と同一で,帰宅した時はシューズのみ違うという格好に,妻は笑っていたのが印象的です.トランジットのことでかなり考えましたから.せめて,着替えが最小限に済み貢献できた気がします.帰路は,さすがに疲れていたのでしょう.3回仮眠を入れました.

 今は,「次回は・・・」などと,とても言えませんが,戦略はありますよ.懲りない奴です!!