人に教えたくないウルトラマラソン

〜地域の手作り大会の良さを満喫〜飯泉さんの飛騨ウルトラマラソン完走記


はじめに
 飛騨ウルトラマラソン・・走り終えて感じたことは、「この大会、あまり人には伝えたくないなぁ」ということ。本当にこぢんまりとした大会。あまり大きくなって欲しくない大会だ。この大会の説明を簡単にしたい。

大会日程
2003年5月25日
朝5時にスタートして夕方7時までに100km走りきる大会だ。途中2カ所のチェックポイントがある。
地域の手作り大会
この大会の基本概念が面白い。
 ちょっと紹介すると・・「特定のスポンサーを付けた冠大会とはせず、飛騨地区青年層の知恵と才覚を充分に生かした手作り大会とする」「本大会は岐阜県の推進する夢おこし事業に共鳴し、飛騨地域の青年の交流を図り、ふるさとに貢献するものとする」と大会の基本概念に記されているように、地域の手作り大会ということを強調している。
 それを痛烈に感じたのは、大会前日の開会式とレセプションだ。地元国府町と古川町の町長さんが直に参加し、大会を盛り上げようとしている。また、地元教育長さんなど行政でも偉い方の参加とスピーチがあった。それと地元の太鼓の演奏も楽しかった。
 そして、そのレセプションも凄い。野辺山でも前日の前夜祭ということで、1000円会費で簡単なパーティーがあるが、この大会もパーティーがあった。それもなんと地元のお母さん方の手作り料理と飲み物。アルコールもある。それが全て飲み放題・食べ放題なのだ。これって大会が小さいから出来ることではないだろうか。(四万十川のウルトラも前夜祭と閉祭式も無料だったが)
 また当日の完走後、完走証を直に町長さんが手渡してくれるのだ。なかなかそんな大会ってないような・・とにかく病みつきになりそうな大会の一つになった。

走りのようす

スタートまで
 前日はスタート会場である、「国府町福祉の里」で車中泊。初めての経験であるが寝ずらい。よく数時間だけでも寝ることが出来たと自分を褒めたい。しかし、駐車場のトイレは非常に綺麗だった。それだけが救いと言えば救いだろう。荷物の預かりが朝4時からのスタートということで、3時半には起床して準備をした。4時頃になると大会参加者もちらほらと会場に見られるように。そこでまた凄いのが、ランナーの朝食と言うことで、おにぎりやパンなどが用意されていた。一応、朝食の準備をしていなかった自分は、そこに置かれていたおにぎりなどほおばった。
いよいよスタート
 5時スタート。福祉の里に隣接したグランドを一周して外へ。朝早いというのに、街道で応援をしてくれる人がいて嬉しかった。今年、大会の変更点は制限時間を13時間から14時間にしたことと、コースの変更。NHK朝の連続テレビ小説「さくら」の舞台地である古川町が組み込まれた。
すばらしい景色
 古川町まで約6km。その間は田園が続く。その景色の素晴らしいこと。古川町に着くと古い町並みを走る。地元の人や観光客が声援で出迎えてくれた。町中に小さな川が流れていたが、そこにはたくさんの錦鯉が泳いでいた。そんな景色を堪能しながら走り続けた。
ハイライトは平湯峠
 今回一番目標としていたことが、この大会最大の峠標高1684mの平湯峠越えだ。「武蔵野」の一番の反省は、靴が合わなかったという理由もあるが、山岳コースをしっかり走れなかったこと。今回この大会で絶対に平湯峠をノンストップで越えようと思っていた。平湯峠越えはスタートから44.3kmが頂上。しかし、峠越えまでに何度かのアップダウンがあった。自分としてはそんなに遅いペースで走っていないと思うのだが、このアップダウンで何人かに抜かれた。しかし、ここはとにかくマイペースで走り抜こうと思っていた。現実はかなりペースは落ちていたと思う。峠まで国道158号を走り抜けるのだが、途中から乗鞍スカイラインへ入った。ここからが地獄の始まり・・あまりにも急斜面で走ることが出来ない。ここで初めて歩きを入れて頂上を目指した。
ウルトラの歩き方
 ウルトラの大会で歩きが入るといつも思い出すことがある。それは昨年参加したとき馬越峠(八ヶ岳野辺山100kmマラソン)を三田さんと高木さんの三人で登ったときのことだ。あの時高木さんが歩きでも絶対にダラダラ歩いてはいけない、目標とかメリハリを付けて歩いた方がいいとアドバイスしてくれた。だから、今回は歩きで何人のランナーを抜くことが出来るか自分自身に課して歩いた。
 結局ずーと前を歩いていたランナー2,3人を抜き去った。その峠の頂上にエイドがあり、給水して下り・・ここであまり足に響かない程度の走りで平湯温泉へ。平湯スキー場前が第一チェックポイント。そしてここで朝預けた荷物の引き渡しがある。この下りは武蔵野の反省もあり、少し大きめの靴に履き替える。予想通り、足のつま先に負担が掛かった。しかし、靴を大きめにしたお陰で痛みなどなく走れた。
もう一度訪れたい秘湯
 平湯温泉を抜けていくと、福地温泉へ・・初めて聞く温泉街だったが、町並みや旅館を見ただけで「秘湯」という感じ。レース以外でもう一度訪れたい町だった。その後、山の中を走り抜けるのだが、もう誰一人すれ違うことがない道だった。猪や熊が出没してもおかしくない道だった。でも、その分景色は最高だ。日差しは強かったが、心地よい風が頬に当たった。
田園地帯から次の峠へ
 上宝村本郷が第二チェックポイントだが、そこに到達するまでずーと田園が続く。それもなだらかな上り坂が。標高510mのスタートから標高1684mの平湯峠を越え、そして第二チェックポイント上宝村本郷の標高が535m。そこからまた大坂峠を越える。そこは標高950mだ。ここに至るまでに午前中平湯峠に行くまでの間に抜かれたランナー達を抜いた。皆前半の峠越えで体力を使い果たした感じだ。
そしてゴールへ
 大坂峠頂上から一気に下り坂。ここは、馬越峠の下りをイメージして走り抜けた。エイドの方がこの下りで毎年膝を痛めリタイアするランナーが多いとか。しかし、五月の連休中の山岳耐久の一部、五日市までの下山を考えたらもう天国だ。自分の足を信じて一気に下った。そしてその勢いで、ゴールへ。タイムは11時間39分町長さんから一人一人完走証を手渡された。

さいごに
 飛騨ウルトラマラソン。エイドの内容は単調ではあったけど、それがまた手作り大会の良さか。とにかくこのままの規模でずーと続いて欲しいと思った大会だった。来年も是非、参加したい大会の一つだ。

 アドバイスなどと偉そうなことは言えないけど・・前半の登りはとにかくマイペース。平湯峠に到達するまでに何回かの登りと下りがある。この繰り返しが結構辛い。前半はあまりとばさないほうが良いかもしれない。後半の大坂峠で一気に勝負をかけるのがベストかも。