激走!大雪の富士五湖ウルトラマラソンH15.04.15

-平成15年4月5日 田村氏の富士二湖47km奮闘記-

 速報や掲示板でご存知のように,富士五湖ウルトラマラソンは47kmで大雪のため打ち切りとなりました.以下は100kmの部に参加していた田村さんの完走(敢走?)記です.


種目 総合順位 部門順位 番号 氏名 記録
117km 188/305 179/282
(男子117km)
232 木下幸一 05:18:03
100km 40/357 40/308
(男子100km)
1291 田村裕美 04:45:59

会場までの道のりは...

 雨は覚悟の上でした。それも春先の冷たい雨。でも雪は、しかも長野市でも年に1,2度しかないと思われるほどの大雪など誰が予想したことでしょう

 松代の自宅を出たのが4/4(金)のPM11:30、既に雨は降り続いていました。高速道を南下し、大月ジャンクションから川口湖方面へ、雨は止む気配を見せるどころかむしろ雨足は強くなっているように思えました。AM2:30頃に途中のPAで30分程仮眠をとり、スタート2時間前、いざ会場へ向かおうと車のライトをつけると何やら雨筋がはっきりしています。寝ぼけているのかと思いきやさにあらず、それはみぞれでした。河口湖インターを出て富士北麓公園へ向かう坂道を上り始めると路面は既に白くなっています。それと同じく私の顔も蒼白でした。何せ車はノーマルタイヤ。3月に車を買い換えたばかりで、スタッドレスタイヤを購入していなかったし、チェーンも持ち合わせていません。自分の身の安全もさることながら、車の事が気になって仕方がありません。前後にも車に挟まれ、坂道の途中で止まってしまったらもうアウトです。前の車との車間をあけながら、慎重に運転してAM3:30何とか会場に到着しましたが、この時点で既にかなりの雪が積もっていました。 

受付はしたものの...

 さて、とりあえず受付だけは済ませたものの、ここからが思案のしどころです。一体他の参加者は本当にこの雪の中を走るつもりなんだろうか?先にスタートする木下さん(117kmは100kmより30分早いAM4:30スタート)はどうしているんだろう?様々な思いが交錯し、こんな時間には誰も見てくれないことが分かっていながらもNMCの掲示板に書き込みをせずにはいられませんでした。

 AM4:45、私はスタートを待つ大勢のランナーが待機している陸上競技場ハウス内にいました。外は雪が降り続き、トラックでは子供たちが雪だるまを作って遊んでいます。周りにはビニール袋やビニールカッパを着た走る気満々のランナー達でごった返しています。そして私はと言うと、周りのランナー同様、ロングシャツ+ロングタイツ、さらにウィンドブレーカーの上下にビニールカッパを着、普通の手袋の上にはビニール手袋と完全に走る格好をしていました。

 結局、大会が中止にならないのに棄権をしたら、ゴールするランナー達をただ指をくわえて見ているしかありません。(だって、ノーマルタイヤでは帰るに帰れないどころか、山の上の会場から移動すらできないんですから)。とにかく、無理せず行けるところまで行こう、止めるのはいつでもできる、そんなことを考えながらスタートを待ちました。

 AM4:55、やたらと元気なお姉さんがランナー達を鼓舞しています。中には信じられないことにランパンやハーフタイツ姿の人もいます。

いよいよスタート

 AM5:00、いよいよ100kmのスタートです。一斉に、しかしゆっくりとランナー達が動き出します。道路は既にかなりの積雪で、ランナー達は車の轍や117km組が踏み固めて行った足跡を前のランナーに従いながら、幾筋かの糸になったように進んでいきます。スタートから500m程上るとすぐに長い下り坂になりますが、全体のペースは上がりません。それはそうでしょう。寒いし足下は滑るし、ウォーミングアップなんてほとんどの人ができていないんですから。

序盤は雪と香りとトラックとの戦い

 最初の5キロはほとんど下り坂ですが、ゆっくりゆっくり約35分程で通過、いつもなら手を伸ばすエイドもパスです(道路沿いの温度計表示は0℃、エイドには冷たい水しかないのでは当然でしょう)。忍野八海を経て10キロ地点、ここも5キロ34分ほどで通過。広大な敷地にあるファナック(株)本社工場を過ぎると、何やらプーンと良い臭い(匂いではない)がしてきます。この大雪では牛たちもさぞやびっくりしていることでしょう。周囲の景色を白一色に変化させてしまう大雪もさすがに臭いだけは消すことができないようです。

 13キロ地点で国道138号に入り、山中湖南岸から左回りに一周します。しかし、景色を楽しむ余裕はありません。ただひたすら下を向いて黙々と走るのみです。時折脇を走り抜ける大型トラックがシャーベット状の雪を跳ね飛ばし、体に降り注ぎます。体はカッパで守られているので平気ですが、雪の固まりが足首から靴の隙間に入り込むとその冷たさは我慢できません。立ち止まってすでにびしょ濡れの靴を脱ぎ、雪の固まりを取り出します。そんなことを2度、3度と繰り返しながら、山中湖をぐるっと回って先ほどの13キロ地点に戻ってくると約25キロです。

戦意喪失ランナーが次々と...

 20キロ付近からはポツポツと117キロ組のランナーを抜き始めましたが、すでに気力・体力を失っているランナーがほとんどです。特に普段走る格好にビニール袋を被った程度の出で立ちのランナー達が多かったように思います。私はというと、走る前は暑すぎるかもしれないと思った装備が幸いし、ここまで相変わらず5キロ33分程のイーブンペースです。特にビニール手袋の効果は絶大で、中の手袋はずぶ濡れにも関わらず、直接雪が当たらないせいか特に冷たく感じることはありません。途中のエイドでは、普段はあまり食べないキャンディーやブドウ糖タブレット等にも自然と手が伸びました。体に異変もありました。常に下を向いて走っていたせいか、首の後ろ側が痛みます。気がつくと帽子の庇には大量の雪が積もっていたので、その重みのせいがあったのかもしれません。

打ち切り決定,そして...

 山中湖に別れを告げて約2キロ、27キロ地点のエイドに着くと「47キロで大会中止」のアナウンスがありました。いつもならここでウォームアップは終了、ウェアの脱ぎ捨てをして「さあ頑張るぞ」となる訳ですが、さてこれからどうするかと考え込んだり、話し込んだりするランナー達でごった返しています。走り出すランナー達も残り20キロだからのんびり行こうという人が多かったようです。

 さて、私はというと、ここまで地元山梨在住のちょうどレベルも似通った走友と一緒に走ってきていたのですが、その走友が「残り20キロ、余力を残してももったいない」と言ってペースを上げて走り出したので、あわてて後について行きました。足下がおぼつかない上に交通量が激しくなってきた中、先行するランナー達を抜いていくのはかなり危険です。国道に出ると歩道もありますが、前のランナーを抜くためにはタイミングを見て脇に寄って新雪の中を走ったり、車道と歩道を上ったり下りたりしなければなりません。信号待ちも何度もあり、なかなか思うようには走れません。それでも5キロ30分を切るペースで走りきり、4:45:59でゴール。27キロまでのペースを考えるとまずまずのタイムです。途中、滑って2回程派手に転んだり、車道と歩道を上ったり下りたりとかなり無理をしましたが、雪がクッション代わりになってくれたせいか怪我をすることもなく、疲労やダメージもあまり感じられませんでした。

戦い済んで...

 今回のような大雪の中でのウルトラは滅多に経験できるものではありませんが、三田さんが掲示板に書かれていたように、本当に勇気のあるランナーならスタートせず棄権すべきであったろうと思います。ここに書かせていただいた完走記も読む分には興味があっても自分が走ってみたいと思う人はまずいないでしょう。私自身も決して自慢できることではないと思っています。

しかし,戦いは終わっていなかった!?

 ゴールはしたものの、ノーマルタイヤの車では富士北麓公園の駐車場を脱出することはできず、結局その日は車中泊を余儀なくされました。木下さんの車(スタッドレスタイヤ)に乗せてもらい、昼食と買い出しをすることができました。さらに毛布まで貸していただきました。もし木下さんに会うことができなかったらと思うとぞっとします。

富士山の魅力

 翌日は快晴。冠雪した富士山は青空をバックに見事な姿を見せていました。今回は痛い目に遭いましたが、こんなきれいな富士山を見せつけられるとまた走りたくなってしまうのはきっと私だけではないでしょう

〜完〜


(管理人より)

残念ながら写真はありませんが,下記のURLに写真がありますので参照してください.(いつまであるかわかりません)
  ランナーズのHP http://www3.runnet.co.jp/record/index.html
  UMMLメンバー(スポック氏)のHP http://www.geocities.jp/mrspockman2001/yahoophoto.htm
特に,スポック氏のHPに上げられていた写真には,翌日の本当に美しい富士山が写っています.

以下,NMC掲示板より関連部分を再録.

ウルトラ班のHP 投稿者:いしかわ  投稿日: 4月 1日(火)19時54分25秒

今クラブは長野マラソン一色ですが,ウルトラ班では今週末に田村・木下両氏が富士五湖に挑戦します.健闘を期待しましょう.
素晴らしいU 投稿者:むしゃb  投稿日: 4月 2日(水)19時10分09秒

近々は木下さん、田村さんの富士五湖の報告が楽しみですね。おふたりとも頑張ってきてください。
追加 投稿者:とく  投稿日: 4月 2日(水)22時14分41秒

木下さん、田村さん今週末頑張ってきてください!
いよいよ富士五湖 投稿者:田村  投稿日: 4月 3日(木)08時21分57秒

富士五湖がいよいよ近づいてきました。
ところが昨年末に解決したと思っていたトラブルが再発してしまい、ここ2週間で1回しか走れていません。
今はこのような状態で100kmが本当に走りきれるのか不安で堪りません。
制限時間が14時間なので、途中で故障や体調不良などが起きなければ何とか帰ってこれるだろうとは思っていますが・・・・
今年初のレース、苦しみながら楽しんできます。
Re:いよいよ富士五湖 投稿者:いし  投稿日: 4月 3日(木)21時34分00秒

田村さん木下さんは明日出発かな.
天気が心配です.すぐあとに長野と野辺山が続きますので,無理せず苦しんできてください.田村さんからの途中経過は随時この掲示板に報告させていただきます.今年度のウルトラ班第一陣の活躍をお祈りしております.
行って来ます 投稿者:田村  投稿日: 4月 4日(金)23時11分32秒

これから富士五湖へ出発します。
現地の天気予報は雨後くもり、スタートから午前中は間違いなく雨、気温は最高7度のようです。
出発前から雨が降るのが分かっているときほど、憂鬱なときはありません。
長野マラソンや野辺山のことを考えると、できるだけダメージ少なく帰ってきたいのですが・・・
雨と寒さの状況に合わせた走りができるかが完走のポイントになりそうです。
それでは行って来ます。
大雪 投稿者:田村  投稿日: 4月 5日(土)03時51分18秒

富士北麓公園は大雪です 今準備しながら本当に走ろうか悩んでいます でもノーマルタイヤでは帰るに帰れないし 木下さんはどうするんだろう?
どうなったかな? 投稿者:いし  投稿日: 4月 5日(土)07時35分39秒

まだ途中情報はありません.大雪?スタートしたのかな?予定通りなら木下4:30田村5:00スタートだから,木下25km田村23kmあたりだと思うけど....
Re:大雪、、私なら出走しない 投稿者:三田  投稿日: 4月 5日(土)08時35分04秒

短い距離ならともかく、大雪、最高気温予測7度の中の100km、119kmとは? 主催者が距離短縮とか、中止しないと危ないのではないか?5kmも走らないうちにシューズは濡れて冷たくなってくるだろうし。自転車競技で乗鞍マウンテンサイクリングが一度台風で中止、トライアスロンなんかでは、海の部を外したりなど変更して行うこと結構ある。ランでは3年前だったか、伊那ロードレースが大雪中止でトン汁だけ食べて帰ってきた。富士は決行したのだろうか? 開催にあたり本来雪の気象条件は想定してないはずだ。
大雪注意報 投稿者:いし  投稿日: 4月 5日(土)09時14分05秒

が河口湖(富士五湖地方)に出ているようです(8時53分).途中経過情報も入ってこないので,中止になったかなぁ.というより中止にしてほしいという感じですね.そういえば8年ぐらい前の熊谷さくらマラソンも雪で中止になったことがあります.受付してTシャツだけもらって帰りました.
47kmゴールで打ち切り。NMC2人はゴール。 投稿者:三田  投稿日: 4月 5日(土)10時00分42秒

只今、田村さんより携帯電話ありました。打ち切りゴールとなった47km地点にゴール。木下さんも来たといううことで、2人とも無事ゴール。大雪の中よくぞ走ったものです。感心します。長野もみぞれになって来ました。スタッドレスの木下さんは帰れますが、ノーマルの田村さんはクルマをおいて帰るわけにもいかず、と現地にとどまるようで、これまた大変。2003年ウルトラの出だしはいや、大変なものになりましたね。多分暖かいものは主催者で用意していることでしょう。クルマに乗る必要がなければ、こんな時は熱燗ですね。
波乱のスタート 投稿者:いし  投稿日: 4月 5日(土)10時25分37秒

ですね.大雪注意報の出る中ホントよく47kmも走りましたねぇ.雪が降っているときなんて10kmのジョグに出るのだってためらうのに.詳報お待ちしております.気をつけて帰ってきてください.それとカゼ引かないように.野辺山が好天になることを期待しましょう.
長野マラソン 投稿者:牛わか  投稿日: 4月 5日(土)15時44分08秒

田村さん、木下さん、お疲れ様でした。悪天候で残念でしたね。でも、長野マラソンを迎えるには47Kの距離は丁度よかったのでわ?(無責任な発言でゴメンナサイ)
田村さん・木下さんお疲れ様でした 投稿者:ymayumi  投稿日: 4月 5日(土)17時26分49秒

4月というのに雪にびっくり、それ以上に雪の中走っている人がいてまたびっくり、しかも47`も。お疲れ様でした。ただただその一言だけです。風邪ひかないように、気をつけて帰ってきてください。田村さん帰れるかな?土曜日の大会だったんですね。
車中にて 投稿者:田村  投稿日: 4月 5日(土)18時23分36秒

皆さんご心配ありがとうございます やっぱり今日は帰れません 今は雨に変わったので明日までには20センチ以上ある雪も溶けるでしょう でも都会の人たちは車のお尻を大きく振りながら帰っていきます 私にはとてもできません
雪、雪そして雪 投稿者:きのした  投稿日: 4月 5日(土)23時20分56秒

ただいま帰りました。応援いただきありがとうがざいました。無事完走?しました。
甲府は桜が満開なのになんでやの〜同じ山梨県なのに不思議だ〜
47キロで完走メダルとフィニシャータオルを貰ったが嬉しさ半分料金そのまま。
田村さんは公園で車内箔です。私の専売特許を取られしまいました
今晩はここまで 投稿者:いし  投稿日: 4月 6日(日)00時08分04秒

きのしたさん,大変おつかれさまでした.無事で何よりです.非常に珍しい貴重な体験だったと思うので,落ち着いたらぜひ詳しく聞かせてください.
お疲れさまでした、木下さん、田村さん。 投稿者:飯  投稿日: 4月 6日(日)01時07分17秒

大雪の中、ご苦労様でした。自分も今年の「十日町」の時は吹雪の中のハーフを走ったので、少しだけお気持ちお察し申し上げます。でも、せっかく高い参加料払ったのに47で終わるのも複雑ですよね。来年度の大会へスライド式に加算されればいいのに・・無理ですか。
雪の中の47km、めったにできない体験なので、またお聞かせください。
ようやく帰還しました 投稿者:田村  投稿日: 4月 6日(日)15時04分24秒

先ほど2時前に帰還しました。帰宅より帰還という表現がぴったりの2日間でした。
道路の凍結が溶けるのを待って9時に駐車場脱出を図りましたが、積雪&ノーマルタイヤで出口方向に向きを変えるだけで至難の技。優しいどなたかが残していってくれたスコップで雪をかきだしながら、30分かけて何とか脱出に成功しました。
帰りは気持ちを切り替えるために、高速を途中で降りて野辺山スタート地点をしっかりと見てきました。おっとその前に長野マラソンがあった。
−−−−−−−−−−−−−−−−
木下さん、食糧の買い出しと毛布ありがとうございました。木下さんがいなかったら寒い中で飢え死にしているところでした。山梨の和泉さんもよろしくと申しておりました。ところで毛布の返却ですが、野辺山でもよろしいでしょうか?
富士五湖速報 投稿者:いし  投稿日: 4月 6日(日)16時56分40秒

をこの掲示板情報+UMML情報から再編しました.田村さんも無事帰宅,おつかれさまでした.
遅れ馳せながら 投稿者:ちーぽん哲@ちーむぽんきち@あわび走友会  投稿日: 4月 6日(日)21時26分30秒

富士五湖参加の皆様、ご苦労様でした。ウルトラの大会は、予想もしない出来事が、いろいろと発生するもんですね。