マラソン大会の応援には何度も足を運んでいる方は多いでしょう.でもウルトラマラソンの応援はハーフやフルの応援とはちょっと勝手が違います.約12時間という長丁場を移動しながら応援するのです.そこでウルトラマラソン応援初心者の方へ私(管理人の妻)からちょっとしたアドバイスをしたいと思います.
注意事項(やってはいけないこと)
最近は有料で「応援バス」を用意している大会も増えましたが,これがない場合は自家用車・自転車・バス・電車を使って移動しながらの応援となります.自家用車で応援の場合は絶対に伴走行為をしてはいけません.選手に気を付けながら先回りして,車を停めて応援し,また先回りして応援するというようにしましょう.伴走行為をしていて事故になったことが過去にありましたのでこれはダメ.また自転車で応援する場合,選手が出発してから30分以上たってから追いかけましょう.出発後すぐは選手が固まっていて自転車で走れません.また自転車を事前に何処かに置いておき,そこまでは電車やバスで移動しながら応援するという方法もあります.自転車であっても選手の横に張り付いて伴走するのは他の選手に迷惑なのでやめましょう.私は何度か自転車で応援した事がありますが,選手からは離れて走り,先回りをして自転車を止めて応援していました.
応援プランを作ろう
公共の交通機関を使って応援する場合は,出発前にコースマップと地域の詳細な地図を見ながら応援地点を検討します.コースマップには大体の通過予想時刻を書き込み(ウルトラ初心者にはこの予想が難しいのですが),近くに駅があれば電車の時刻表も見ながら応援ポイントを決めていきます.この時,もし予定時刻になっても選手が通過できず,次のポイントへ向かうための電車が来てしまった場合,乗って次のポイントへ行くか,乗らずに待つかも決めておきましょう.駅がなければバスの移動になりますが,バスの時刻表・路線図は事前の入手が困難なので,地元の観光案内所やマラソン大会事務局などにバスの便があるかを聞いてみましょう.結局予定通りには行かなかったりするのですが,この作業はなかなか楽しいものです.
通過チェックの裏ワザ
レース前日は宿に泊まる人がほとんどだとおもいますが,前日に行う大切な作業があります.ウルトラの場合,コース上何ヶ所かに荷物を置く事ができます.その荷物の準備が選手にとっても応援者にとっても大切な作業なのです.エイドステーションではナンバーカード順に荷物が置かれていて,通過した選手の荷物はどんどんトラックへ積み込まれていきます.ということは荷物の中の選手のナンバーの有無で選手が通過したかしないかがチェックできるわけです.ウルトラ初心者の場合,通過予定時刻はかなりずれてきますので,置いておきたいものが何もなくても,タオル1本でも入れて荷物を置いて貰うようにして,通過の確認ができるようにしておきましょう.最近は走りながら携帯メールで応援者に現在地点を送る選手も多いので,必ずしも必要ではありませんが.
でも,荷物の有無をスタッフに尋ねるのは遠慮したほうがよいです.選手が少ない時間帯はいいですが,ボリュームゾーンになるとスタッフはそれどころではなくなります.できるだけ自分で探してください.また荷物場に入るときは,スタッフに一声かけましょう.
応援友達を作ろう
前日の宿によっては男女別相部屋になる場合があります.よる遅くまで準備する人や朝早くから準備する人などがいるため,この場合はあまり眠れないと思ってください.でも相部屋も楽しいものです(多少気は使いますが).相部屋に応援のベテランの方がいればその人と一緒に応援するのも良いです.ベテランの方は良い応援ポイントを知っています.また応援する選手の走力が同じくらいの人がいれば,その人と一緒に応援するのも良いと思います.私は以前相部屋になった方と一緒に応援し,その方とは今でも年賀状のやり取りをしていますし,数年に一度大会でお会いできるのを楽しみにしています.ウルトラマラソンはとにかく長いですから,一緒に応援する人が入れば長い待ち時間も話しているうちに過ぎ,楽しく応援する事が出来ます.
天気が心配?
応援者にとって一番の問題は天候です.走る選手は雨でも晴れでもあまり関係無いようですが,応援者にとって雨は最悪です.当日の天気予報によって雨具を準備するのですが,「時々雨,降水確率30%」程度だったら折りたたみの傘か合羽で間に合うと思います.「雨,降水確率80%」など雨が確実であったら合羽と傘両方が必要です.以前,「スタートからゴールまで雨」という最悪な天気の時がありました.この時合羽しか持っていっていなかったら,頭の所から水が滴れてきて前が見えず,見かねた地元の方が自宅で余っていた傘をくださいました.また雨が降りそうな場合は多少の雨でも濡れないような靴(トレッキングシューズなど)の方が良いと思います.
ウルトラマラソンは夜明け前から日暮れまでとなりますので気温差が激しいです.野辺山などはスタート時は気温10℃以下なのに昼間は半袖で居られるのです.ですから気温に応じて脱ぎ着できる服装をお勧めします.
おなかすいた
ウルトラマラソンの応援は時間が長いので応援者もお腹が空きますし喉も渇きます.でもウルトラマラソンは車の通りが少ない田舎道を通る事がほとんどなので,コース上でコンビニなどを見つけるのは困難な事が多いです.スタート地点は街中である事が多いので,スタート地点でコンビニなどを見つけて調達しておく事をお勧めします.
しかしいくら腹が減っても,エイドステーションの飲食物は原則として選手のためのものです.自分から手を伸ばしてはいけません.エイドで欲しそうな顔をしていれば,エイドのおばちゃんがくれることもありますが.
応援のベテランたちはこんなにスゴイ!
現地で知り合った方たちと一緒に応援していると,自分の応援している選手だけはかなり遠くからでも確認できていることに気が付くでしょう.「あっ!!来たわ」という声が他で聞こえてから到着するまでにはかなり時間がかかります.それは後ろ姿であっても同じです.私も自分のダンナだけはウエアーと走るフォームでかなり遠くても確認できます.もちろん後ろ姿でもわかります.ダンナ以外はかなり近づかないと確認できないのですが・・・こんな事を観察しながら応援するのも楽しいものです.
また一緒に応援している人たちから色々なウルトラ大会についての情報(大会の雰囲気・運営の善し悪し・応援の方法など)を聞いておくのも次の為に役立ちますよ.
ウルトラマラソンの応援を何度かしていると,走っている選手の速さやフォームなどから「この辺りの集団にはいない.もっと先に行っているはず」とか「この地点でこの時間で,この感じならゴールタイムはこれくらい」などというのがわかるようになります.またフルやハーフの応援では立ち止まって話をしたりはしませんが,ウルトラは1分2分は誤差の範囲.選手と話をしながら応援できるのもウルトラならではの楽しみです.
選手が最も応援を必要としているのはここだ!
ウルトラマラソンを走ろうという選手はフルマラソンまでは経験豊富な方が多いので,60キロ位までは余裕で走れる様ですが,70キロから85キロあたりは肉体的にも精神的にも選手が一番めげるポイントのようです.「フルから30キロも走っているのに残りがまだ30キロも残っている・・・」と.ですからこの辺りは応援者の助けが重要です.自分の応援している選手だけでなく,通る選手みんなに大きな声で応援しましょう!!もちろん全般を通してみんなに応援をするのですが,この辺りは特に応援者もガンバって応援しましょう!!
感動のゴール
残り距離も少なくなって,いよいよゴールが近づいてきました.ウルトラマラソンでは一人一人にゴールテープを準備してくれます.ゴール直前,選手は応援者の姿を探しています.手を振ったり大声を出したりして,自分の存在を選手に確認させてください.
もしゴール写真をとるならば,選手の姿を確認し,選手も自分を確認したとわかってから,ゴールテープを切る瞬間の写真を撮るために急いで移動し,良い場所を確保しましょう.そして「会心のゴール」の瞬間を記録に残しましょう.
ゴール後,まだまだ続くサポート
ゴールをしたら,それまでは動いていた選手の足はばったりと動かなくなります.歩く姿はまるでゾンビです.ゴール地点へ運んでもらっている荷物はナンバーカードを見せないと渡してもらえませんので,ぐったりしているゾンビからナンバーカードをはぎ取り,荷物の受取所へ行って荷物を受け取ります.そして前日に選手がすでに準備してある「お風呂セット」(ここを見てね)とサンダルを渡し,お風呂へ行ってさっぱりしてきてもらいましょう.
少しは遠慮しろよ!
お風呂から戻ってきたら楽しい飲食タイムです.ゴール地点には大会によってうどん・そば・豚汁など,いろいろな食べ物が無料で用意されています.うどんなどを何杯もおかわりして「これを食事の変わりにしようとしているのか?」と思うような応援者の方がたまにいますが,これはあくまでも選手のための食べ物です.応援者が食べ過ぎたために,制限時間間際にやっとの思いでゴールしてきた選手の分が無くなってしまうような事があってはいけません.応援者も1杯くらいは良いと思いますが,何杯もお代わりをするようなことは慎みましょう.なお大会によっては,同じ食べ物を応援者のために有料で提供しているところもあります.
さいごに...
最近ではゴール後に完走証をもらえる大会がほとんどです.忘れずにナンバーカードを見せて完走証をもらいましょう.そして宿へ行くわけですが,この時,選手はまだゾンビ状態です.それを忘れていつもの調子で歩いていると後ろの方から「おーい待ってくれよ!!」という声が聞こえてきます.帰りは選手に合わせて,レース中の話でも聞きながらゆっくりゆっくり歩いてあげてくださいね.
さあ,これであなたもウルトラ応援の達人です.選手に負けないよう応援を楽しみましょう!